ロシア外務省は12日、フィンランドの大統領と首相が北大西洋条約機構(NATO)の加盟申請に向けた声明を出したことをうけ、「外交政策の過激な変更だ」とする声明を発表、「フィンランドはなぜ自立を捨て、領土をロシアとの軍事対立の境界にしようとするのか」と、同国の判断に疑問を投げかけた。
NATO拡大阻止を一つの目的にウクライナに侵攻したロシアの思惑は、裏目に出た。
隣国の動きを、ロシアは以前から警戒していた。外務省のザハロワ報道官は4日、国営テレビで「我々は長く、北欧の隣人たちにNATOへの傾斜が欧州の安全保障システムを脅かすと警告してきた」と発言。ロシアで対独戦勝記念の大規模軍事パレードが行われた9日、グルシコ外務次官は、フィンランドがNATOに加盟すれば「我が軍は必要不可欠な手段すべてを検討する」とノーボスチ通信に語った。
冷戦終結後、欧州連合(EU)に加盟し、西欧の一員であることを強調するようになったフィンランドは、一方ではロシアとの関係にも腐心してきた。フィンランドを「安全保障上のシステムを形作る国」(グルシコ氏)と認識していた時期が長いロシアにとって、そのNATO加盟は想定外だった。
欧米はロシアに冷ややかだ…
【視点】私の恩師は、かつての東西冷戦のことを、「ある愛のかたち」と表現していた。 確かに、フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟することは、ロシアにとって、軍事的な脅威となろう。しかし、ロシアにとってそれは、忌々しくはあっても、「対処すべき厳
【視点】この記事の末尾に出てきますが、「北欧2カ国のNATO加盟により、欧州の安全保障秩序には、どんな負の影響が考えられるのか」という視点は極めて大切だと思います。今後の10年、20年先を見通した視点です。米ソをはじめとする東西諸国の共同作業だった