キーウ近郊の戦争犯罪を調査へ 国連人権理が決議採択、中国は反対票

ウクライナ情勢

ブリュッセル=青田秀樹
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 国連人権理事会は12日に開いた特別会合で、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナの状況を議論し、多数の民間人の犠牲者が出た首都キーウ(キエフ)近郊などでの調査を進める決議を採択した。人権理は、戦争犯罪にあたるような行為を調べて報告するよう、外部メンバーを加えた「調査委員会」に求めた。一方で、中国は決議の採択に反対票を投じた。

 人権理は3月、国際人道法違反などの人権侵害が起きていないかを現地で調べる調査委の設置を決め、欧州人権裁判所の元判事らを委員に指名している。この日の決議では、キーウや北部チェルニヒウ、北東部ハルキウなど4地域での調査を求めた。違法行為の責任追及を進められるようにするためだという。

 さらに、ウクライナからロシアへ、またはロシアの支配地域へと送られたとされる人たちについて、国際機関などによる制限のない安全な面会を実現するよう、ロシアに対して要求した。こうした人たちのリストや、居場所などの情報開示も迫っている。

 国連のバチェレ人権高等弁務官は特別会合の冒頭で、キーウ州だけで1千人以上の遺体が確認されているなどと指摘し、「戦争犯罪だと思われる例が多数ある」と訴えた。

 人権理は47の理事国からなり、決議は日本を含む33カ国の賛成で採択された。中国とエリトリアが反対し、インド、キューバカザフスタンなど12カ国は棄権した。中国の大使は「人権理は近年、政治化し、対立する場面が増えている」と指摘した。ロシアも理事国だったが、「重大かつ組織的な人権侵害」を行ったとして4月に追放され、新たにチェコが理事国に選出されている。(ブリュッセル=青田秀樹)

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