腕の中の息子へ「あなたのおかげ」 産後353日の私が挑む世界戦

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伊藤雅哉
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 まさかのタイミングで電話がかかってきた。

 初めての出産から4カ月。授乳もあり、常に寝不足。ほとんど運動していなかった。

 電話の声は、所属する京都市内のジムの会長だった。

 「世界戦の話が来たんやけど……」

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 37歳の女子プロボクサー、小沢瑶生(たまお)が長く待ち焦がれた世界タイトルマッチ。そのチャンスが舞い込んだのは、昨年10月のことだった。

 その年の6月12日に生まれたばかりの長男・緯泉(いずみ)君を抱いていた。

 1カ月悩み、もう一度、会長に連絡した。

 世界戦の話はまだ生きていた。

 「じゃあ、どうしたらやれるのか、考えよう」

 昨年末。国内ではまず前例のない「出産から1年未満での世界挑戦」へ走り出した瞬間だった。

 最初は「家を空けられるのは2時間だけ」だった。

 ジムで着替える時間さえ惜しい。家からジムへの約3キロを走り、そのままシャドーボクシングなどをこなした後、また走って帰った。練習の前後に授乳した。

 世界王者は、夫婦の夢でもあ…

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