沖縄ブームが吹き飛ばした本土コンプレックス 引き換えに失ったもの

有料会員記事沖縄・本土復帰50年

聞き手・岡田玄 聞き手・真鍋弘樹 聞き手・桜井泉
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 沖縄の本土復帰から、15日で50年。独自の風土と文化をはぐくんだ島々に、本土からは偏見とあこがれのまなざしが注がれてきた。それに応えてきた沖縄の現在は、理想の姿なのか。

仲村清司さん「埋めるべき溝は、沖縄の中に」

 1990年代から沖縄ブームが巻き起こりました。私の本もブームのきっかけでした。青い海、青い空は書かない。オバァやウチナータイムなど、沖縄の日常の暮らしや人々をポップに描く。まず東京で火がつき、沖縄に逆輸入される形で読まれました。

 私は大阪で育ちましたが、両親は沖縄出身を隠していました。かつて、沖縄の人は自分たちの文化を恥ずべきものだと思い、本土に対するコンプレックスがあった。それがブームで吹き飛んだのです。

 私は街を歩き、そこに歴史や人々の営みを感じたり、何が起きたかを深掘りしたりして題材にしてきました。しかし、今の沖縄ではそれが難しくなりました。戦後の闇市の名残のある市場や古い街並みはことごとく壊された。離島でもホテルや橋などが建設され、行くたびに景色が変わる。琉球王朝の聖地、斎場御嶽(せーふぁうたき)さえ世界遺産になり観光地化されました。漆器や琉球ガラスなど、本物の伝統工芸も大切にされていません。

 注目されたことで、沖縄の人は自信をつけた。でも、浮かれて、本当の沖縄の良さを見失ったのです。本土と同じ景観が広がる「ヤマト化」が進み、「本土のしっぽ」になってしまいました。

日本に復帰し「ヤマト化」がすすんだ沖縄。社会は、そして、本土との関係はどう変わったのか。後半では、米軍統治下の沖縄で生まれたラジオパーソナリティーの宮城葉子さんと、社会学者の多田治さんが論じます。

 一方、この25年間は、沖縄…

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