めざせ「地産地消」、ベッドタウン新電力が大手に挑む異例の戦略

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室矢英樹
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 大阪府奈良県の間には標高642メートルの生駒山がそびえる。東側の奈良県生駒市は大阪への近さから関西屈指のベッドタウンとして知られる。県外で働く人の割合が50%超で「奈良府民」を自認する市民も多い。重要な生活インフラの「電気」も、大阪に本社がある大手電力から受けるのが従来の暮らしだ。

 職や生活インフラを県外に頼る人口約12万人の住宅都市で、将来を憂え、「電力の地産地消」を掲げ、大手電力からシェアを奪う闘いが始まったという。

 4月に生駒市担当となった記者はこの10年間、原子力・エネルギー問題の取材を続けてきた。赴任直後、闘いの中心人物が原発城下町の福井県出身者だと耳にした。縁を感じた。戦略を聞きに行った。

 「あの山のすぐ裏が大阪です」。楠正志さん(70)がテレビ塔が並ぶ西の方角を指さした。眼前には、太陽光パネルを載せたこども園の屋根が広がる。次に向かった丘陵地は、高齢者施設の南斜面に真新しい太陽光パネルが並ぶ。昨年11月に完成し、起こした電気をすべて施設に直接供給している。

出資者の約8割が市民

 いずれも、楠さんが代表理事を務める一般社団法人「市民エネルギー生駒」が造った「市民共同発電所」だ。市有地や公共施設を無償で借り、市内5カ所で発電している。

 今年度の予想発電量は計約40万キロワット時で、標準的な家庭で約130世帯の年間消費量に相当する。5カ所の整備費計約9400万円は市民らの出資で賄った。出資者の約8割が市民だ。

 楠さんが胸を張った。「市民が出したお金で発電所を造り、地元で使い切る。これこそ、電力の地産地消です」

 楠さんはパナソニックの元社…

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