最初は違う名前だったおばけ 「めっきらもっきら どおんどん」

有料記事

聞き手・田中瞳子
[PR]

 主人公の男の子が3人のおばけに出会って遊び明かす「めっきらもっきら どおんどん」。個性豊かなおばけたちは、おなじみの神様や日本画の要素を受け継いで生まれています。絵を担当した降矢ななさんに、創作秘話を聞きました。

「めっきらもっきら どおんどん」(福音館書店、1985年、累計82万9千部)

かんたは遊び相手を探して神社へ来たけれど、誰もいない。しゃくだから大声でめちゃくちゃの歌を歌った。「ちんぷく まんぷく あっぺらこの きんぴらこ じょんがら ぴこたこ めっきらもっきら どおんどん」。すると大きな木の根っこの穴から声が聞こえる。のぞき込んでみると、不思議な世界に吸い込まれて……。

七福神の布袋さんもモデル

 主人公の男の子、かんたは木の根元に開いた穴へ吸い込まれます。その先で出会った3人のおばけ「しっかかもっかか」「おたからまんちん」「もんもんびゃっこ」。かれらの姿形は、文を担当した長谷川摂子さん(2011年に67歳で死去)からいただいた名前とテキストをもとに、一から考えました。かんたが神社にいるところから始まるお話だったので和風のおばけがいい。図書館で日本画の図録を見てインスピレーションが湧きました。

 しっかかもっかかは、枝から枝へ飛び移って遊ぶ子供のおばけです。安土桃山時代狩野永徳「唐獅子図屛風(びょうぶ)」に着想を得ました。渦巻き状の髪形は唐獅子のたてがみです。ふくよかで福耳のおたからまんちんは、七福神の布袋さん。ひょろりと手足が長いもんもんびゃっこには、浮世絵の船頭をまねて市松模様の服を着せ、白いキツネのお面をかぶせました。

■空想と現実、バランスの妙…

この記事は有料記事です。残り1166文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら