スマホの向こう、戦場にいるあなたを思う アートで境界越えたい

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聞き手 編集委員・大西若人
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 沖縄で生まれ、活動する映像作家の山城知佳子さん(46)は、沖縄の歴史と現実を見据えた切実な映像表現で高く評価されている。現在は、東京芸術大の准教授を務め、今年、芸術選奨文部科学大臣新人賞も受けた。本土復帰50年を機に話を聞いた。

 ――6月19日まで、東京都現代美術館で山城さんの新作「彼方(あなた)」が展示されています。海岸で若い人々の間でぽつんと高齢者が立っている映像作品ですね。

 男性は、87歳の父です。父には認知症の初期症状が表れています。

 沖縄戦を経験した80代、90代の方の中には認知症を発症する方もいますが、ふたをしてきた戦争体験がよみがえり、毎日戦争の中にいると思う人もいるそうです。でも父の場合は、バスに乗って遠くに行ってしまうこともあるんですが、よく知っているはずの場所を初めて見たかのように楽しそうに報告してくれます。

写真・図版
山城知佳子「彼方(Anata)」(2022年、8面マルチチャンネル・インスタレーション、ループ)のうち4画面 (C)Chikako Yamashiro, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 忘れたくても忘れられない戦争の記憶から離れ、沖縄の歴史や政治の文脈もそぎ落として、初めてまっさらな状態で島を見つめられたんじゃないか、その光景は私ですら見たことがないんじゃないか、その時に見える島の美しさってどんな感じだろう、と想像しました。高齢者の方と私たちの世代は同じ空間を生きているのに、立っている場所が違うことを示そうと。

――本土復帰後に生まれた山城さんは、沖縄戦や本土復帰を、どう受け止めていますか。

 今日もまた飛んでいるオスプ…

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