日出生台の米軍射撃訓練 説明なき無制限拡大に恐怖

聞き手・白石昌幸
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 陸上自衛隊日出生台演習場(大分県由布市玖珠町九重町)で行われた米海兵隊による実弾射撃訓練が4月25日、終了した。初めてとなる4月の実施、過去最多の射撃数、米軍の説明会不参加や訓練公開の中止など、異例ずくめとなった今回の訓練は地元住民らにはどう見えたのか。訓練の監視活動を続けている「ローカルネット大分・日出生台」の浦田龍次事務局長(58)に話を聞いた。

 ――ローカルネットの調査では、155ミリ榴弾(りゅうだん)砲の総射撃数が過去最多の1491発となりました。

 米軍の砲撃は朝7時から始まり、午後9時直前まで撃ち続けました。小火器訓練が行われた日には、午前7時過ぎに榴弾砲を1発発射。その後は小火器訓練が続き、午後9時直前にまた1発発射し、訓練終了のサイレンがなりました。

 私たちは訓練時間の短縮、特に音が響く夜間の砲撃はやめるよう要望しています。しかし、午前7時~午後9時の訓練時間に、1秒たりとも譲る気はないという米軍の意思表示と思えました。日米合意に違反してはいませんが、地域住民の暮らしにはまったく配慮していない訓練でした。

 ――新たな装備品の持ち込みも判明しました。

 大分市の大在公共埠頭(ふとう)で米軍車両や装備品の陸揚げ作業を監視していた12日、見慣れない車両に気づきました。すぐにネットに写真を掲載して情報を募ったところ、高機動ロケット砲システム「ハイマース」だとわかりました。

 米軍や九州防衛局は事前にハイマースの持ち込みを公表しておらず、後になって2両が持ち込まれたことを明らかにしました。ハイマースは米海兵隊の作戦の中心となる最新鋭装備品です。私たちが気づかないうちに、他にも新たな装備品が持ち込まれているかもしれないという疑念がわきます。米軍や九州防衛局は説明責任を果たすべきです。

 ――今回の訓練では、米軍がブリーフィング(説明会)を欠席し、訓練公開も中止しました。

 米軍の指揮官が訓練内容を説明しない、訓練公開もしないという前例が今回の訓練で既成事実化されてしまいました。ハイマースの持ち込みでもわかるように、沖縄の基地負担軽減のために始まった「沖縄県道104号越え射撃訓練」の移転訓練は、米海兵隊の変化とともに当初とはまったく違う訓練になっている。地域住民や自治体に説明すれば問題となるような訓練の無制限の拡大が、演習場内で起きているのではないかという怖さを覚えます。

 ――訓練終了後には米兵の外出が目立ちました。

 これまでの訓練後の米兵の外出は演習場からバスを使って集団で外出し、このバスで演習場まで戻ってきていました。だが、今回はタクシーを呼んだり徒歩で湯布院の街に出たりと、大勢の米兵が演習場から個別に外出していました。まったく異例のことです。

 移転訓練が始まった発端は、1995年に起きた米兵による少女暴行事件です。今回、地元住民が一番不安に感じている米兵の自由外出の既成事実化が進みました。また、米軍装備の搬入搬出などはセキュリティー上の問題として公表されませんでしたが、米兵の自由外出はなぜ許されるのか、矛盾を感じました。

 ――抗議の声が米軍に届かない現状があります。

 地域住民が何を言っても米軍は聞く耳を持たない。空をつかむような無力感を覚えることはあります。先日、米軍の準機関紙「星条旗新聞」は米国がウクライナ支援に155ミリ榴弾砲を送るという記事に、日出生台演習場の訓練で使われている榴弾砲の写真を掲載しました。

 日出生台演習場で行われている訓練が、戦場へとつながっていく。そのことを忘れてはいけません。声が届かないからといって黙っていては、米軍の訓練を私たちが認めたことになる。これからも抗議の声を上げ続けます。(聞き手・白石昌幸)