コカリナでウクライナ支援 黒坂さんのひまわりプロジェクト始動

滝沢隆史
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 オカリナに似た木製の楽器「コカリナ」演奏の第一人者・黒坂黒太郎さん(72)が、ロシアの軍事侵攻でウクライナから国外へ逃れた避難民を支援するためのコンサート「ひまわりプロジェクト」を故郷・長野県上田市でスタートさせた。ウクライナで撮影された名作映画「ひまわり」のテーマ曲を全国各地で合奏。募金を呼びかけ、隣国のポーランド在住の元教え子を通じて援助する。

 「避難してくるのは女性と子どもだけ。親から『ゲームだ』と伝えられている子どももいて、心の問題が心配だ。たとえ、いますぐ戦争が終わっても、復興には時間がかかる。長期間の支援が必要で、ウクライナに関心を持ち続けてほしい」

 大型連休初日の4月29日、上田市で開かれた「ひまわりコンサート」。ポーランド・ワルシャワで日本語学校を運営しながら避難した子どもたちの支援に奔走する坂本龍太朗さん(36)が、スクリーン越しにビデオメッセージで呼びかけた。坂本さんは、黒坂さんが会長を務めるNPO法人「日本コカリナ協会」(東京)の公認講師だ。

 コンサートでは、県内外のコカリナサークルのメンバー約120人が黒坂さんの指揮に合わせて、戦争で引き裂かされた夫婦を描くイタリア映画「ひまわり」(1970年)のテーマ曲を合奏した。映画の代表的なシーンのヒマワリ畑がウクライナで撮影されたことから、全国で再上映の輪が広がっている。

 合奏に参加したメンバーの一人、上田市の宇都木よしみさん(78)は、太平洋戦争が終結する2年前の冬に生まれた。終戦前後の記憶はないが、父母の兄弟が戦死した。宇都木さんは「(戦中生まれの自分にとって)ウクライナの悲劇は、より胸に迫ってくる。本当につらく、いたたまれない。早く戦争が終わることを祈っている」と話した。

 平和や災害からの復興を祈って国内外で活動を続けてきた黒坂さん。広島で被爆した木や、東日本大震災の津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」などからコカリナを作り、演奏してきた。

 1998年の長野冬季五輪では、五輪用の道路建設で伐採された木でコカリナを製作し、地元の人たちに合奏団の結成を呼びかけた。熱意が認められ、長野五輪の表彰式などでの演奏が実現した。

 その合奏団に参加した一人が、当時小学生で千曲市に住んでいた坂本さんだ。坂本さんは現地の避難民の実情や支援の様子をSNSで発信。それを知った黒坂さんがコカリナのコンサートで支援を思い立ち、故郷・上田市から始めた。

 黒坂さんにとって、「ひまわり」は半世紀ほど前に上田市にあった映画館で鑑賞した特別な作品だという。「一面に広がるヒマワリ畑のシーンが、いまでも忘れられない。ロシアの軍事侵攻で、ヒマワリ畑が戦車に押しつぶされてしまった。私たちの思いは、坂本君が受け止めてくれると思う。これから日本中に支援の輪を広げたい」

 ウクライナ中部のドニプロから母親とポーランドに避難した14歳の少女ソニャさんが、平和への思いを込めてヒマワリの絵を描き、坂本さんに託した。協会がこの絵をプリントしたTシャツを1枚3500円(税込み)でコンサート会場などで販売する。経費を除いた全額を坂本さんに届けて支援に役立てる。

 ひまわりコンサートは茨城や千葉、神奈川の各県などで予定されている。(滝沢隆史)

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