岸田文雄首相が今月、英国外遊中に打ち出した「資産所得倍増プラン」はNISA(少額投資非課税制度)の拡充など、国民の資産を預貯金から株式投資などに誘導しようというものだ。一方、昨秋の就任前に掲げた金融所得への課税強化の旗は降ろしていない。正反対の方向を向いているように見える二つの策は果たして矛盾しないのか。
日本は諸外国に比べ、家計の金融資産に占める現預金の比率が高く、約2千兆円のうち半分ほど。リスクが少ない分、増え方も鈍く、株式などの割合が大きい米国では金融資産の総額がこの10年で3倍になったのに対し、日本は1・4倍にとどまる。岸田首相は5日、シティーと呼ばれるロンドンの金融街での講演で「眠り続けてきた1千兆円単位の預貯金をたたき起こす」と力説した。
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