地元産果物や野菜をふんだんに メイドイン安城のカクテル誕生 愛知
古くから農業が盛んなことで知られる愛知県安城市で、地元産のフルーツや野菜を使ったオリジナルカクテルが誕生した。「カクテルの日」(5月13日)に合わせて、レシピを監修した市内のバーや、飲食店などで提供が始まった。
完成したのは、イチジクのピューレを使った「熟~いちじくのしずく~」と、梨のピューレでつくる「爽~なしのしずく~」、フルーツや野菜をウォッカに漬け込んだ「アントニック」の3種類。
「熟」はイチジクの濃厚な甘みにオレンジジュースなどの酸味をかけ合わせた。「爽」は緑茶などを使い、梨の繊細な甘さを引き立てる。多くの店で提供できるよう、仕入れが簡単な材料を使っている。
「アントニック」は、イチジクやキュウリ、チンゲンサイといった特産品を乾燥させたものをウォッカに漬け込んだうえで、トニックウォーターで割ったカクテルだ。
今回、市観光協会の職員らがレシピの開発を進め、市内にあるバー8店舗のバーテンダーらが監修した。20年ほど前から横のつながりがあり、コンテストに向けた勉強会や交流会を続けてきた。
「BAR十三夜」代表の鳥居清治さん(47)は「これまで各店舗のオリジナルの良さを尊重してきた。共通レシピづくりは初めて」と話す。何度も試飲を重ねた。アントニックはどこまでチンゲンサイやキュウリの香りを強めるか。そのバランスに苦心したという。
カクテルづくりは神谷学市長の発案という。神谷市長は3年前、出張先の東京で訪れたバーで、イチジクの果肉がたっぷり入ったカクテルに目を見張った。「イチジクの産地の安城こそ、こういうカクテルがあればお客さんも農家も喜ぶはず」
12日にBAR十三夜で開かれたお披露目会では、鳥居さんがつくったカクテル3種類を神谷市長も試飲。「それぞれの素材の良さが出ている。キュウリの苦みもほどよくて大人の味」と太鼓判を押した。鳥居さんは「地元の素材のいい勉強になった。旬の時期にはフレッシュな果肉を加えたい」と話していた。
2種類のフルーツカクテルは監修した8店のバーで、アントニックは居酒屋やカフェなど32店で味わえる。問い合わせは市観光協会(0566・71・2235)。(柏樹利弘)