段ボール上に「三崎の海」 朝市で水族館「豊かさ知って」

佐藤善一
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 神奈川県三浦市の三崎港周辺で捕れた魚たちが、広げた段ボールの上に並ぶ。売り物ではない。三崎朝市で約5年前から始まった「ダンボール水族館」だ。魚が豊富な三崎の海を知ってほしいと、魚の専門家と地元料理店が協力して続けている。

 日曜日の早朝、定置網漁船から三崎の魚市場に水揚げされる魚の中から、観音崎自然博物館(横須賀市)学芸部長の山田和彦さん(62)が魚を選び出す。市場で売買されない魚が多い。朝市にも出店する地魚料理店「くろば亭」店主の山田拓哉さん(49)のアイデアで始まった。

 ダイナンウミヘビ、クロホシイシモチ、テングダイ、ホシエイ、コモンフグ……。今月1日の朝市でもイサキやマルアジに混じってあまり聞き慣れない魚が並んだ。段ボールに魚を並べ、魚の名前を和彦さんがマジックで次々に書いていく。準備段階から人だかりができた。

 リピーターも多い。毎週通って記録を付けていた小学生もいたという。原則、日曜日の朝市に合わせて開いているが、定置船が出航しなかったり、水揚げがなかったりした時は臨時休館になる。展示する魚の種類も水揚げ次第という。

 和彦さんは北里大学卒業後、京急油壺マリンパークに就職し、東京から三崎に引っ越した。それから三浦半島近海でどんな魚が捕れるか調べるため、早朝、魚市場に通い始めた。珍しい魚が水揚げされると漁師からもらい受けた。市場通いは40年近い。

 和彦さんによると、三浦半島沖は魚の種類が多く、相模湾は世界でも有数の水深の深さという。1年間を通じて水揚げを見てきた和彦さん。魚の種類や水揚げ量を通して海の変化も見続けてきた。

 昨年から山田拓哉さんを引き継ぎ、息子の玄太さん(24)が手伝うようになった。玄太さんは「三浦で育った。こんなに魚の種類が多いとは知らなかった」。和彦さんは「アイナメが激減したり、ハタの種類が増えたり、捕れる魚にも変化がある。三崎は魚の種類が多い。海の豊かさを知ってほしい」と話した。(佐藤善一)