山形のきらやか銀、公的資金申請へ 識者「モラルハザード懸念も」

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辻岡大助 稲垣千駿
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 きらやか銀行(山形市)は13日、金融機能強化法に基づく公的資金の注入を金融庁に申請する方針を明らかにした。中小企業の資金繰り支援を目的とした新型コロナウイルスの特例制度を利用する「第1号」となる見込み。財務基盤を強めて取引先の資金繰りを支える考えだが、国民負担が生じる恐れもあるだけに銀行経営の立て直しも問われる。

 「地元経済を支え、今後も長期にわたって支援していくことが必要不可欠だ」。13日夕、山形市のきらやか銀の本店で記者会見した川越浩司頭取(58)は、公的資金申請の目的について、地域経済の下支えであることを強調した。

 山形県を地盤とする同行の取引先は、コロナの影響を大きく受ける中小の温泉旅館やサービス業が多い。同行によると、コロナの長期化に加え、ウクライナ情勢による原油価格の高騰の影響で、中小企業の経営環境は厳しさを増している。同行は今年に入ってから、公的資金の是非について話し合ってきたという。川越氏は「今まで以上に(貸し倒れなどの)リスクテイクを行う観点から、あらかじめ(公的資金による)資本を増強しておく必要がある」と強調した。

 申請する金額や時期は今後、親会社のじもとホールディングス(HD)と詰める。じもとHDが公的資金の注入を受け、同額をきらやか銀に出資する仕組みを想定しているという。きらやか銀はすでに300億円の公的資金の注入を受けている。今回新たに注入を受けると、地銀では2014年の豊和銀行(大分市)以来となる。

 きらやか銀の経営状況は厳しい。自己資本比率は、金融庁が求める健全性の基準(4%)を大きく上回る8%超(22年3月末)であるものの、21年3月期決算の純損益は過去最大の48億円の赤字を計上。22年3月期では10億円の黒字に転じたが、来期は減益を見込み、収益の立て直しは課題だ。

 じもとHDの鈴木隆社長は同日の会見で、「しっかりと期限を定めて計画的に返す必要があると考えている」と話した。

 同行はリーマン・ショック後の09年に200億円、12年に経営責任などを問われない「震災特例」でこの200億円の切り替えを含む計300億円の公的資金の注入を受けている。(辻岡大助)

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