議長がカネの話持ち出すおかしさ 細田氏「月給100万円しか」発言
「1人あたり月給で100万未満の手取りの議員を多少増やしても、バチは当たらない」。細田博之衆院議長(自民党出身)のそんな発言が波紋を広げている。SNS上では「市民感覚とずれている」「コロナ禍にあえぐ国民の姿が見えないのか」といった批判が飛び交う。
衆院議長からこうした言葉が飛び出す背景に何があるのか。有権者の政治意識に詳しい埼玉大の松本正生名誉教授に聞いた。(聞き手・菅原普)
――細田氏の発言をどうみますか。
細田氏は、国会議員の数の話をしたかったようですが、月100万円という金目の問題として受け止められました。「100万円しか」という言葉と、「上場企業の社長は数億円もらっている」といったことに話題が集中して、議員の定数の議論が吹っ飛んでしまいました。
――月100万円というカネの話を持ち出して理解を求めようとしたことが間違っていたのでしょうか。
日本では議員の定数の議論をしても、カネの話に還元されてしまうという悪弊が続いてきたんです。
本来は、一人の国会議員がどれだけの有権者を代表するのかという「基準」について議論しなくてはいけない。そうした基準がなければ、400人にしても500人にしても、多いか少ないか決めようがない。「身を切る改革」とよくいいますが、そればかりではなく、もっと原理原則の話をしないといけないんです。それを語るのが本来、国会であり、議長なのに、その議長が、カネの話を持ち出してどうするんですか。
背景に政治家への信頼感のなさ
――カネに還元する問題ではないと。
議員定数は、カネの多寡で議…
【視点】デジタル版だと記事中の「細田博之」から過去記事も読むことができる。すると今回の件をあわせて一貫して細田氏は『一票の格差を是正するための衆院選の「10増10減」の区割り変更を阻止』したいのだろうという気持ちがわかります。 たとえばそれが