もしトランプ氏が米大統領を続けていたら、ロシアによるウクライナ侵攻は起きていたか――。プーチン大統領への米国の対応を検証するうえで、トランプ政権の及ぼした影響は議論を呼ぶポイントの一つです。政権の内幕を知るジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障担当)に、ロシアに対するトランプ外交の実態を尋ねました。(ワシントン=高野遼)
――ロシアによるウクライナ侵攻から米国が学ぶべき最大の教訓は何でしょうか。
米国と北大西洋条約機構(NATO)がロシアを抑止できなかったと認める必要があります。いまになって制裁や援助をしているだけでは不十分。ウクライナが粉砕されようとしているのだから、ロシア軍が国境を越える2月24日以前が重要でした。もっと真剣にロシアを抑止する努力をしていれば、このような事態は避けられたはずです。
2008年8月にロシアがジョージアに侵攻した後、我々はほぼ何もしませんでした。14年にロシアが初めてウクライナに侵攻した後も、ほとんど何もしなかった。(抑止力は)時間をかけて積み上げていくものなのです。
05年、プーチン大統領は「ソ連の崩壊は20世紀最大の地政学的な惨事だった」と言いましたが、私たちはそれを十分に真剣に受け止めていなかった。明らかに彼がやっていることは、ロシア帝国を再建することです。
またプーチン氏だけでなく多くのロシア人が、母なるロシアが引き裂かれたと考え、ウクライナなどの地域に戻ってきて欲しいと思っている。私たちはそれも真剣に受け止めていなかったと思います。
John Bolton
1948年生まれ。弁護士として活動後、ブッシュ(父)政権で国務次官補、ブッシュ(子)政権では国務次官、国連大使を歴任。トランプ政権では2018年4月から453日間、国家安全保障担当の大統領補佐官を務めた。
――歴代の米政権はロシアの脅威にどう向き合うべきだったのでしょうか。
NATOの拡大は不完全でし…
- 【視点】
ある種一貫している。力と抑止を最重視し、その行使の不足を批判する、共和党右派のなかでも強硬派――とはいえ、とくに例外的でもない。 ウクライナ侵攻を抑止できなかった、プーチンに抑止させられている、By all meansときちんと脅して

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