思い出の港町でまた増えた 阪神・中野拓夢の「まさか」の出来事

大坂尚子
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(14日、プロ野球 阪神タイガース9―2横浜DeNAベイスターズ)

 あとは三塁打が出れば、サイクル安打達成だった。

 六回2死一塁で迎えた第4打席で、阪神の2番打者、中野拓夢はひそかに狙っていた。フルカウントからの6球目、内角の142キロを、ひじをたたんで振り抜いた。右翼席への一発となり、「安打の(意識の)延長で三塁打になればいいぐらいの感覚だった。まさか2本塁打になるとは……」。三回に続く、野球人生初の1試合2発に声を弾ませた。

 俊足巧打が売りの25歳。日大山形高から東北福祉大三菱自動車岡崎を経て2020年秋のドラフト6位で入団した。昨季は新人ながら盗塁王を獲得し、同期の佐藤輝明とともに優勝争いに貢献した。だが、今春のキャンプは、下肢のコンディション不良で2軍で別メニュー調整に。3月中旬に2軍の教育リーグで実戦復帰し、何とか開幕に間に合わせた。チームの打撃不振もあり、4月下旬からは思い切りの良さを買われて中軸に座ることもあった。

 横浜スタジアムは昨季、プロ初先発や初めてヒーローインタビューを経験し、正遊撃手の座をつかむことにつながった験の良い球場だ。そこで、二塁打、本塁打、中前安打、本塁打の大暴れ。5打席目は遊飛に倒れ、「ちょっと欲を出しすぎてしまった」と苦笑。記録達成はならなかったが、また一つ港町での思い出が増えた。(大坂尚子)

 矢野監督(神) 13安打9得点の快勝。「なかなかこういう攻撃ができなかった。(近本、中野の)1、2番が出ると、そういう打撃に近づいてくる」

 青柳(神) 6回2失点で4勝目。「思い通りに投げられなかった。何とか6回まで2失点でいけたのは、野手が打ってくれたから」