沖縄そば、地球の裏側の街で「郷土食」 なぜ?きっかけは夫婦の屋台
「沖縄そば」を愛する町が南米ブラジルにある。町の無形文化遺産にも指定されている「郷土食」だが、沖縄から約1万9千キロ離れた地球の裏側でなぜ親しまれているのか。街には、名護で生まれた92歳の女性の姿があった。
沖縄では豚骨、ブラジルの町では……
その町は、マトグロッソドスル州の州都カンポグランジ。最大都市のサンパウロから北西に約900キロ、飛行機で2時間弱の場所にある内陸部の人口約90万人の都市だ。
大都会の騒がしさを離れたのどかな場所。街の中心部でも緑が多く、銀行や大学、商店などは一通りそろう。平日の夕方に30ほどの飲食店が軒を連ねる「フェイラ・セントラル」(中央市場)を訪れると、すぐそばにある高さ3メートルほどの「沖縄そば」のモニュメントが目に入った。市場の中からは、ラーメンのような香りが漂ってくる。のぞけば、各店が夜の開業に向けてスープを仕込んでいた。
「カンポグランジでは、『沖縄そば』というよりも『SOBA』として知られています。街の人なら誰しもが好物ですが、沖縄がルーツだということを知らずに食べている人も多いでしょう」
そう解説してくれたのは店の一つ「バハッカ・ダ・ニリア」の勝連タダシさん(29)。日系3世で、2020年9月から3代目を任されている若き店長だ。
カンポグランジの人々に愛される沖縄そば。広まるきっかけは、名護生まれの女性(92)が夫と作ったお店でした。当初は客をカーテンで隠したといいます。記事後半でルーツに迫ります。
沖縄そばは、だしをとるのに豚骨を使い、具材にソーキ(豚のあばら肉)をつけることが多い。タダシさんの店でも、だしは豚骨、具材は豚肉だ。
一方、豚肉よりも牛肉の消費…