第102回NATOの北方拡大、歴史的な大転換 プーチン氏は求心力失う可能性

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聞き手・青田秀樹
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 北欧のフィンランドスウェーデンが、軍事的な中立の立場を離れて北大西洋条約機構(NATO)への加盟に動き出しました。NATOの北方拡大は欧州の安全保障環境をどう変えるのか。ロシアを刺激して情勢が不安定化するリスクはないのか。NATOの元事務総長補代理で、ブリュッセルのシンクタンク「フレンズ・オブ・ヨーロッパ」のシニアフェロー、ジェイミー・シェイ氏(68)に聞きました。

 ――NATOの北欧への拡大は、どんな意味を持ちますか。

 「スウェーデンは200年にわたって戦争から距離をとってきました。フィンランドも第2次世界大戦後、軍事的な対立から遠ざかってきた国です。両国にとって歴史的な転換ですし、NATOにとっても大きな出来事です。欧州の主要な国が結束することになります。とりわけ、国際政治が専制主義と民主主義の対決という形で定義されようとしている時に、NATOのもとで民主主義陣営が強化されます。ロシアのプーチン大統領はNATOの拡大を止めようとしてウクライナに戦争を仕掛けましたが、まったく逆の結果を生みました。NATOが遠ざかるのではなく、ロシアに迫る形になったのです」

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 ――両国の加盟は予測していましたか。

 「すでにNATOへの統合が近年進んできました。私がNATOで働いていた時から、フィンランドとスウェーデンはあらゆる会合に招待されていましたし、アフガニスタンバルカン半島での作戦にも参加しました。スウェーデンはリビアでの空軍の作戦にも加わりました。参加しないNATO加盟国も多かったのに、です。両国の部隊はNATO軍とも高いレベルで相互運用ができるようになっています。スウェーデンは米国の防空システム『パトリオット』を導入していますし、フィンランドは同じく米国の戦闘機F35を購入しています」

 「ただし、両国の安全保障戦…

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