「持続可能」な萩のアマダイ漁 山口県が漁獲トップ続く

大室一也
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 中国地方5県で唯一、日本海と瀬戸内海の両方に面している山口県は魚介類の宝庫だ。県ぶちうまやまぐち推進課によると、都道府県別の魚種別漁獲量で、山口県はサザエやフグ類、イサキ、アナゴ類、ウニ類などがトップ10に入っている。

 中でも首位を走り続けるのが、日本海側で通年でとれるアマダイ類。その多くが長州藩の城下町、萩市で水揚げされ、高級魚として主に関西や関東に出荷されている。木戸孝允や高杉晋作吉田松陰ら幕末維新の志士たちが舌鼓を打った――かもしれない魚を求め、萩に向かった。

 JR東萩駅近くのホテルにある和食店「ダイニングまめだ」ののれんをくぐった。「アマダイは優しい顔をしていて『海の貴婦人』と称されています」と店主の豆田智弘さん(55)。水分が多くて甘みがある特徴の一方、傷みやすいという。刺し身、唐揚げ、せいろ蒸しなど色々な料理を出している。

 唐揚げは、身と一緒にウロコも食べるのが珍しい。身は塩コショウを加えて片栗粉をまぶしてあるが、ウロコは揚げただけ。「ウロコにあんをかけたり、蒸したりして水分があると、食べても口に残ってしまいます」。カリカリの揚げたてを食べるのがポイントだ。

 刺し身は、熱湯をかけ氷水に入れることで、皮まで軟らかくして食べられるよう調理されている。「皮を取るとアマダイのピンク色が台無し。皮は少しゼラチン質があって甘いんです」。地元産の甘めのしょうゆと相まって、口の中でじわりとうまみが広がった。

 半日ほど西京みそに漬けて焼く西京焼きは、日本の「MISO」が外国でも知られているため、外国人旅行者らに喜ばれるという。「あまり濃い味付けにすると、元々のアマダイの味が消えてしまう。難しいところです」

 萩市水産課などによると、アマダイは南日本近海で5種ほどが生息。アカアマダイ、シロアマダイ、キアマダイが主に食用とされ、アカアマダイの漁獲量が多いという。

 県漁協はぎ統括支店の組合員約1500人のうち、100人ほどがアマダイ漁に携わる。同支店総務指導部の光井敏博係長(33)は「朝いちで出港して漁場に向かいます」。水深100~130メートルほどの海域で砂に潜って生息しており、日本海に浮かぶ見島の北側に多くいるとされる。はえ縄でとり、すぐ氷水につけて鮮度を保っている。

 通年で漁ができるのは資源管理のたまものだ。20センチ以下の未成魚は放流し、産卵最盛期の8月中旬に10日間ほど休漁して、乱獲防止に努める。9月下旬にとれた成魚を県栽培漁業公社の外海栽培漁業センター(長門市)に送り、翌年1~2月ごろ、センターが孵化(ふか)させた種苗(稚魚)を買って海に放っているという。

 「持続可能」な漁によって、アマダイは「量がとれ、高値で安定し、萩の水産業を支えている」(萩市水産課)という。(大室一也)

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 山口県ぶちうまやまぐち推進課などによると、県内のアマダイ類の漁獲量は年平均300トン前後で全国1位。「瀬付きアジ」「西京はも」などと並ぶ同県のブランド魚の一つとなっている。萩市や長門市仙崎など日本海側の港で主に水揚げされている。