カキは「冬の味覚」から通年「おいしい」へ 社員16人の大きな挑戦
阪田隼人
冬の味覚の代名詞カキ(マガキ)が、夏でも旬として味わえることが当たり前になる日が来るかもしれない。季節を問わず身がつまったカキの養殖が、全国で広がりつつあるからだ。その大きな原動力になっているのは、徳島県の人里離れた場所にある小さな会社だ。
「もっと買いたいと飲食店からは好評。年中ずっと出荷できるのが強みで、生産量を一気に増やしたい」。徳島県阿南市の漁港で4月、漁師の前田将さん(31)は十数センチまで大きくなったカキを掲げ、養殖の手応えを語った。
定置網漁やワカメ養殖をする中で、他にも安定的な収益の柱が必要だと考え、3年前から販売を始めたのがカキだった。「阿波はじめ牡蠣」のブランド名で、県内のほか、東京・豊洲や名古屋などへ年間約3万個を出荷する。
当初、苦労したのがカキの稚貝の入手先を探すことだった。だがある日、ネットで見つけて驚いた。「カキの産地として有名な広島でも宮城でもなく、地元にこんな会社があったのか」
その会社が、人口約6千人の…
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