「命にかえても」 ひそかに撮った少女の亡きがらが問う、沖縄の現実
今年4月中旬、写真家の嬉野京子さん(81)は、沖縄本島北部の墓地を訪れた。ビーチとエメラルドグリーンの海を見下ろす高台。あるお墓に手を合わせた。
「お久しぶりです」
葬られているのは、当時6歳だった少女。半世紀以上前、偶然その死に立ち会ってしまった。
この場所に立つと、いつも思う。生きていれば、彼女はどんな人生を送ったのだろう。
彼女は私を許してくれるだろうか。
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東京生まれ。学生時代は東京の専門学校でグラフィックデザインを学び、その後、フリーの報道写真家として活動していた。
知り合った沖縄の人から「沖縄には基本的人権がない」と聞き、そんなことがあるのかと信じられず、自分の目で確かめたいと、1965年4月に初めて沖縄へ渡った。
戦後、米軍統治下にあった沖縄では、日本への復帰運動が盛り上がっていた。運動に関わる団体や政党などが集まって行われた「祖国復帰行進」に同行した。
沖縄本島最北端を目指す一団…
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【解説】 「うしろめたさ」に向き合い続ける嬉野さんは、事故の写真の著作権を主張していません。「『沖縄でもうけた』とは絶対に言われたくなかった」。2015年10月1日に掲載したロングイタビューで彼女はそう教えてくれました。その取材で一緒に沖縄を尋ね、