伝統を守り、更新する若い力に期待を寄せて 第56回西部伝統工芸展

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今井邦彦
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 九州・山口・沖縄各県の工芸作家が実力を競い合う第56回西部伝統工芸展(日本工芸会、同西部支部、朝日新聞社主催)が6月1日から、福岡と熊本を巡回する。最高賞の朝日新聞社大賞に選ばれたのは、佐賀県伊万里市の青木昌勝さん(43)の陶芸作品「氷青磁鉢(ひょうせいじばち)」。伝統を守りつつ、どう更新していくのか。挑戦の中から生まれた力作が今年も並ぶ。

開催概要

■福岡展 6月1~6日 福岡三越(福岡市中央区) ■熊本展 6月9~13日 鶴屋百貨店(熊本市中央区)

 入選作と各賞を選ぶ審査は4月上旬、福岡市内で人間国宝(重要無形文化財保持者)や学識者ら6人の審査委員によって行われた。

 陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸(ガラス、七宝など)の7部門からなる「自由作品の部」への応募は181点。コロナ禍で一般からの応募数が伸びず、前回から43点、2割弱減った。一方、入賞者15人のうち40代が6人、30代が2人(奨励賞を含む)を占め、若手・中堅の着実な成長も感じさせた。

 審査委員長を務めた工芸評論家の白石和己さんは「今年も全体のレベルは決して下がっていない。伝統工芸の枠を守りつつ、細部の模様構成などを工夫した意欲的な作品が多かった」と評した。

 「やきもの王国」とも呼ばれる地域にあって、過去5回で上位3賞(第52回からは4賞)の受賞者が1人しか出ていなかった陶芸部門。今回は「氷青磁鉢」で臨んだ青木昌勝さんが、最高賞の朝日新聞社大賞を受賞した。透明感のある青が浮き立つ「氷青磁」は青木さんの代名詞。第52回に奨励賞を受賞して以来、第53回、第55回と入賞を果たしてきた気鋭の作家だ。

 審査委員の陶芸作家、隠崎隆一さんは「デザイン性も高いが、実際に使ってみたいと思わせる機能性を備えた作品」と高く評価した。

 日本工芸会賞は、中島広量(こうりょう)さん(61)=福岡県筑紫野市=の人形「陶胎紙貼彩色(とうたいかみばりさいしき)『遙境(ようきょう)』」。焼き物の人形の服に色染めの紙を貼り、細部を彩色した繊細な作品だが、中国西域風の衣装が大陸の広がりも感じさせる。

 「截金飾筥(きりかねかざりばこ)『花のまつり』」の江里朋子さん(50)=福岡市=は、日本工芸会西部支部長賞を2回連続で受賞。前々回は大賞を受賞しており、伝統と現代性を兼ね備えた截金の第一人者として、今後も活躍が期待される。

 「用と美の部」への応募作品は174点。複数の作家によるコラボレーションの応募は1点のみで、ここにもコロナ禍の影響がうかがわれた。

魅せられたブルー 独自の色彩に 大賞受賞の青木正勝さん

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