「オシム」という奇跡、政治も民族も宗教も超えた 木村元彦さん寄稿

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 厳しくも懐深くあたたかい「語録」に、魅せられた人は多いだろう。サッカーのオシム元日本代表監督が80歳で亡くなった。冷戦後の民族紛争に翻弄(ほんろう)され苦難を重ねた果てに探り当てた人生観、信念について、「オシムの言葉」の著者で、交流の深かったノンフィクションライター、木村元彦さんに寄稿してもらった。

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 その生涯は寛容と多文化へのオマージュそのものだった。

 ユーゴスラビア紛争時(1991年~2001年)、ナショナリズムを自身の求心力に利用する政治家たちは歴史修正と他民族排外の施策を打ち出した。本来、それに歯止めをかける役割を担うメディアと一部宗教者は抗(あらが)うどころか加担し、卑劣な扇動によってすべての民族が醜い殺し合いをさせられた。

 分離独立した各共和国のサッ…

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