「地味」なベテラン佐田の海、円熟の相撲で夏場所の主役に

清水優志
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 平幕4人が先頭に並ぶ大混戦に、35歳の佐田の海が食らいついている。

 輝に立ち合いで突き起こされた。そこで冷静に体を開いて得意の右差しに持ち込む。「体力があるわけではない」と、速い攻めに徹し、押し出した。「動きながら自分の相撲がとれた」。2敗を守った取組に満足げだった。

 熊本県出身。2003年に15歳で角界入りし、最高位は15年名古屋場所の西前頭筆頭だ。父は元横綱千代の富士と同時期に活躍した同じしこ名の元小結。「番付で父に追いつきたい」と目標を口にしてきた。

 右足の不調などで、近年は十両と幕内を行き来した。「若い時みたいに土俵の中で40、50番相撲をとれるわけでない」と稽古量を減らした。その分、しこや基礎的なトレーニング、体のケアで補っている。

 20代の頃にはなかった感覚を好調の理由に挙げる。

 「立っているだけで、足の裏全体が土俵をつかむというか。土俵の砂を、自分の足が包んでくれている」

 衰えを嘆くのでなく、「積み重ねたなと感じる。いろんな面でプラスに考えるようにしています」。

 9日目を終え、幕内の首位にいるのは初めて。最近は、取材する報道陣も増えてきた。

 「地味なので。注目されるのもたまにはいいかな」と笑う佐田の海。心技体の成長を重ねるベテランが、混戦の夏場所で堂々と主役を張っている。(清水優志)