400匹以上の犬を虐待 繁殖業者の逮捕で、ペット業界に走った衝撃

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太田匡彦
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現場へ! 岐路のペット業界①

 JR松本駅(長野県松本市)から車で約30分。県道をそれ、すれ違うのも難しい細い山道を上っていくと、左手の林のなかに2階建てのプレハブ小屋があった。

 飼育していた400匹以上の犬を虐待したとして動物愛護法違反の疑いで逮捕、起訴された元繁殖業者の男が営んでいた2カ所の繁殖場のうちの一つだ。昨年9月2日、冷たい雨が降るなか、長野県警の捜査員らによってこの繁殖場の家宅捜索が行われた。

 犬猫の繁殖業者やペットショップの飼育環境を改善し、悪質業者を淘汰(とうた)するために、具体的な数値規制を盛り込んだ「飼養管理基準省令」が昨年6月、段階的に施行され始めた。その矢先に発覚した大規模な動物虐待事件。新省令への対応に追われていたペット業界に、大きな衝撃が走った。

 まずペットショップチェーン各社に波紋が広がった。問題の業者は「アニマル桃太郎」という屋号で、約1千匹の犬を抱えて繁殖業を営んでいた。埼玉県内のペットオークション(競り市)に毎週20~30匹の子犬を出品。子犬たちはペットショップのバイヤーによって落札され、各地のショップ店頭で販売されていた。

 関東地方を中心に約50店を展開するコジマ(東京都江東区)でも販売実績が確認できた。事件発覚の1年前までさかのぼって購入者に連絡を取り、健康に問題があったり血統書が届かなかったりするケースなどについて、返金する対応を取った。

 川畑剛社長は「その子犬や子猫を買うことで、結果として悪質業者の営業を助けることを望まない消費者が増えている。私たちも、アニマル桃太郎のような業者から仕入れ、販売している会社だと思われることは避けなければならない」と話す。

 ただ、全国に店舗網を張り巡らせて「大量販売」するペットショップチェーンの存在が、繁殖業者に「大量生産(繁殖)」を促している側面がある。子犬・子猫を競り市で取引し、華やかなショップ店頭に並べてしまえば、どんなに劣悪な繁殖場があっても、暗部は覆い隠されてしまう構図が横たわる。

 全国に約120店を持つAH…

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