県景観デザイン賞に「森のねんど研究所」 「場」の魅力を評価

渡辺七海
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 第19回奈良県景観デザイン賞(県建築士会主催)の最優秀賞に大和郡山市の「森のねんど研究所」が、40件の応募の中から選ばれた。同賞はこれまで、建築物を単体で審査してきたが、今回初めて建築を背景にどんな活動が生まれたのか、「場」としての魅力を評価した。

 「森のねんど研究所」の建物は、同市井戸野町にある農家住宅。建て増しを繰り返しており、正確な築年数は不明だが、120年以上前の建物もあるという。現在は、ねんど作家の岡本道康さん(52)のアトリエとして使われている。ワークショップや地域イベントも開かれ、地域活性化に携わる作家や研究者が自然と集まるようになっている。

 建物の持ち主から同市井戸野町の建設会社の倉原猛さん(50)に解体の見積もり依頼があったのがはじまりだ。倉原さんは建物に歴史的価値を感じ、持ち主を説得した。知人の岡本さんに声をかけ2019年、持ち主から借りる形で利用が始まった。

 「今を活(い)かす」をコンセプトに、大規模な補修はしなかった。かわりに岡本さんが作品に使っている、県産杉の端材を原料にした粘土を、虫食いの入った木の修繕などに使った。コロナ下で止まってしまったが、今後は住民や作家仲間と共にじっくりと改修を進めていくという。

 「奈良は伝統が守られた集落がある。地域の輪の中にゆっくり入っていきたい」と岡本さんは話す。

 審査員評では、「SDGsの時代にふさわしい話。単なる貸室として利用するだけでなく、自身の作品思想の一部として昇華させている」などとされた。(渡辺七海)