「何となく」が生む機会の差なくそう キャリアの「壁」超えるには

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石田貴子
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 新年度、新たな職場で心機一転がんばりたい。でも、女性がキャリアを築くには「壁」がある? ご自身も育休を2度取得し国内外で働いてきた東京海上ホールディングス執行役員人事部長兼グループダイバーシティ&インクルージョン総括の鍋嶋美佳さんに、キャリア形成について聞きました。

 私が30年前、保険会社で仕事を始めた頃はまだ、女性が働き続けて昇進していくということが、社会的に認知されていない時代でした。女性は決定権のない人とみなされ、プロフェッショナルとして扱ってもらえなかった経験があります。「あなたが来ても話にならない。男を出せ」と。それでも、保険金を支払う部門で、事故や災害で困っている方々の問題を解決することで、信頼を得ることができました。実績を積み上げることで、また仕事を任せてもらえるようになりました。

「上昇志向」持てない理由は

 最大の壁は「アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)」だと思います。上司が会社でプロジェクトやチームのリーダーといった役割を与える時、男性なら「多少無理を言っても大丈夫」という思い込みからか、なんとなく男性を選んでしまう。結果として、機会が与えられない女性との間で経験値に差が出てしまう。

 女性自身も抜擢(ばってき)されることに対して、「私で大丈夫かしら」「出る杭になったらたたかれるのではないか」と思ってしまう。このようなことが繰り返されることが壁をつくることになっていないでしょうか。

 家事、育児や介護というケアワークが、社会的に女性が担うことと期待されていることも背景にあります。そして女性もそれに応えようとする。よい母でありたいし、仕事に対して責任を持ってやりたいと思っている。けれど、どちらにも100%注力できないと申し訳なく思ってしまう。

 家事育児と仕事の両立は、何とかなる部分と、どうにもならないケースがあります。実際にワンオペ状態の女性が「上昇志向を持て」と言われても、そんな気持ちにはなれないケースもあると思います。「女性は管理職になりたがらない」と言う人もいますが、それってなぜでしょうか。本人のやる気以外に理由があるのではないでしょうか。

 誰もが持っているアンコンシ…

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    井本直歩子
    (元競泳五輪代表・国連職員)
    2022年5月19日21時46分 投稿

    【視点】昨年、某一流企業でお話させていただいた時も、アンコンシャスバイアスの研修は管理職レベルまでは受けているけれど、その下のレベルになると希望者のみ受けているという状況でした。その研修だけでも職員の方の気づきが多々あり、全員必修にすべきだという声