ピッチの上で祈り、ボールを追う W杯のある街の「異国の」少年たち

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伊藤進之介
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 メッカの方角に太陽が傾き、少し肌寒い風が吹く夕方、カタール北東部の街アルホールを拠点にするアルホールSCサッカー部門のU19チームの練習が始まった。

 11月に開幕するワールドカップで使用されるアルベイトスタジアム脇の練習用ピッチは、取材をした4月初旬、昼間は30度を超え、強い日差しにさらされていたが、芝は青々と育ち、照明も完備されていた。快適にサッカーができる環境が整っていた。

 ウォーミングアップを前にムスリムの選手たちはピッチにじゅうたんを敷く。メッカに向かって2列に並び、ハーフパンツの上に布を巻いて足を隠し、祈りを捧げた。祈りの時間の長さは人それぞれ。皆が練習に移っても芝に額をあててしばらく動かない選手もいた。遠くのモスクからわずかに聞こえるアザーンを聞きながら静かに祈る姿は精神統一をしているようにも見えた。

 約2時間の練習は、パス回し…

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