売れ残りや繁殖引退の犬猫引き取り、「下請け」批判 保護団体の葛藤

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太田匡彦
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現場へ! 岐路のペット業界④

 東京・池袋から東武東上線で30分ほどのふじみ野駅で降り、さらにバスと徒歩でおよそ30分。住宅と畑が混在するなかを歩いていると、犬たちの鳴き声が聞こえてくる。

 右手にNPO法人「ペット里親会」(埼玉県ふじみ野市)の保護施設が立ち並んでいた。常に約200匹の犬猫が、ここで保護されている。

 上杉美恵子代表が1992年に個人で保護活動を始め、2001年にNPO法人化した。毎年数百匹単位の保護犬・保護猫に新たな飼い主を見つける、名の知れた動物愛護団体だ。

 長野県松本市の繁殖業者「アニマル桃太郎」による動物虐待事件が発覚したのをきっかけに、にわかに注目が集まった。この業者のもとにいた犬約400匹を引き取ったからだ。

 昨年9月2日、長野県警の捜査員らが動物愛護法違反(虐待)の疑いでアニマル桃太郎の繁殖場に家宅捜索に入ると、すぐに動いたのが、ペットオークション(競り市)「関東ペットパーク」(埼玉県上里町)を運営する上原勝三代表だった。アニマル桃太郎はこの競り市での取引を通じて、ペットショップに子犬を販売していた。

 上原代表は翌3日、車で松本市内の繁殖場に駆けつけた。その日のうちに、成犬と子犬あわせて約400匹を運び出した。「事件が発覚してバタバタと従業員がやめ、まったく管理ができなくなっていた。放っておいたらひどいことになるのが目に見えていた」と振り返る。

 一方で松本市保健所も、受け入れ態勢を整えていた。約50匹分のケージと収容施設を確保、逐次新たな飼い主を見つけていく計画だった。上原代表が運び出しに来た当日、その直前に実際、アニマル桃太郎の経営者を説得し、21匹を引き取っている。

 さらに約30匹を引き取る約束を取り付けていたというが、「翌4日にはほとんどいなくなっていた。『付き合いのある業者に相談したら全部引き取ってくれると言うから渡した』と説明された」(市保健所食品・生活衛生課の大和(おおわ)真一課長)。

 上原代表は最終的に、県警と市が確保した犬以外のほとんど、900匹近くを収容した。そのうち、獣医師資格を持たない経営者によって帝王切開されたために「素人が縫って癒着し、ひどい痕が残っている犬」や「ケージに入れられっぱなしだったので歩けない犬」、「人気がなくてもらい手がみつけにくい犬種」など数十匹を上原代表の判断で手元に残し、それらをのぞいた犬を「保護犬」として、動物愛護団体や譲渡活動に協力的なペットショップに引き渡した。市保健所が引き取りを計画していたことについては「知らなかった」という。

 その半数近くを引き受けたのがペット里親会だった。だが、このために「下請け愛護」などと呼ばれ、批判が集まることになる。

 動物愛護団体の多くは、もともと野良だったり、捨てられたりして地方自治体に収容された犬猫を保護し、新たな飼い主に譲渡する活動に力を注いできた。だが自治体に収容される犬猫は減少傾向にあり、特に犬では、20年前に比べて10分の1程度になっている。

 自治体を通した保護活動は下…

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