育児放棄されたチンパンジーの赤ちゃん、すくすく 愛知・豊橋

戸村登
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 豊橋総合動植物公園愛知県豊橋市)に、子育てを放棄され、人の手で育てられているチンパンジーの赤ちゃんがいる。今春、室内展示場に出る練習を始め、かわいらしい姿が来園者の注目を集めている。

 赤ちゃんは昨年7月30日に生まれたオスの「ファン」。スイス・バーゼル動物園生まれのガイ(38)と、東京・多摩動物公園生まれのアンナ(17)との間に生まれたが、初産のアンナは出産後、ファンに近づこうとしなかったという。

 飼育員が代わる代わる面倒を見ながら、アンナのもとに戻そうとしたが、アンナもほかのメスも面倒をみようとはしなかった。園は人工哺育に踏み切り、その後も飼育員が育てている。

 4月から毎日、室内展示場に出る練習を続け、来場者を興味津々とのぞき込んでいる。成長は順調でかわいらしい姿は注目の的だ。室内展示場にやって来る午後1時前には登場を待ちわびる人だかりができる。

 ほかのチンパンジーに受け入れてもらえるよう、飼育員はファンを抱き、その顔を頻繁に見せに行くが、群れとの間を取り持ってくれそうな個体はまだ現れていないという。飼育担当の奥野浩史さん(36)は「難しいが、やらないと、この子のためにならない。ほかのチンパンジーに慣れてもらい、群れに戻ってもらえるよう願っている」。

 日本動物園水族館協会(東京)専務理事の成島悦雄さんは「チンパンジーの中にいれば、いろいろな刺激を受けて仲間とのコミュニケーションの仕方を学べる。だが人が育てると自分を人間だと思ってしまう。群れに戻すにはなるべく早い方がいい。根気強くやるしかない」と話す。(戸村登)