秘伝書めくり、幻の釉薬 伝統の茅ぶきと焼き物を守る 福岡・高取焼

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渡辺純子
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 茅(かや)ぶき屋根の古い茅で釉薬(ゆうやく)を作り、新たな器を生みだして、屋根のふき替え資金にあてる。400年を超す伝統がある高取焼の福岡県東峰村の窯元が、そんな取り組みをしている。茅ぶき屋根と高取焼という伝統をともに守り、未来へつなげたいと願う。

 13代高取八山(はちざん)さん(61)が息子の春慶(しゅんけい)さん(32)と手がけた「青藤釉(あおふじゆう)」の器は青や緑、灰色が複雑にまじわった独特の色だ。

 「青い空、木々の若葉、水害の濁流。良いことも悪いことも含めて、この屋根が見てきた風景なのかも」。八山さんの妻、七絵(ななえ)さん(58)は言う。

 高取焼は1600年、初代八山が福岡県直方市に築き、2代目が東峰村の小石原に移したとされる。黒田藩の御用窯を代々務め、茶陶として愛されてきた。

 釉薬の調合法など秘伝を受け継ぐ宗家の母屋は、築約160年の茅ぶき屋根。20年ほどに1度のふき替えが必要だ。前回は2003年にふき替えた。17年の九州北部豪雨で母屋が床下浸水しても屋根は耐え、家族を守ってくれた。その後も毎年のように大雨が降り、雪も積もり、いよいよ茅が傷んだ。

 全面をふき替えるには500万円ほどかかる。資金繰りを考え始めた矢先、新型コロナが広がり、収入源と見込んだ展示会ができなくなった。村内の別の窯元はそのころ、茅ぶきからトタン屋根にかえた。

 「うちも、トタンにしようか…

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