黒潮大蛇行が過去最長に きっかけは冷たい渦、静岡ではシラス不漁も

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吉沢英将
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 日本の太平洋側を流れる黒潮が沿岸から離れた後、曲がってまた近づく「黒潮大蛇行」が、かつてなく長期化している。海洋研究開発機構(本部・神奈川県横須賀市)によると今年4月で4年9カ月続き、確かな記録が残る1965年以降で最長に。この間、流路や水温の変化に伴い漁獲に変化が出ているほか、気候への影響も指摘されている。

 駿河湾に面する静岡県富士市の田子の浦漁港。シラス漁場は船で15分ほどの沖合にあり、生きたまま氷でしめて水揚げする「鮮度日本一」をうたう港で知られる。朝どれシラスや食堂で提供する生シラス丼が売りだ。

 だが3月21日に今年の漁期が始まってから、生シラスをほとんど販売できていない。水揚げ量が減っているためで、「うちのメインはシラス。ちょっときついね」と漁協の芹沢豊組合長(64)。不漁はここ5年続いているといい、「売り上げも減り、漁師たちの生活にも影響が出ている」。

 長引く不漁はデータにも表れる。農林水産省の統計では、静岡県のシラス漁獲量は2010年以降8千トンを上回ることが多かったが、17年は5226トンまで激減。以降、18年が5844トン、19年4980トン、20年6126トンと、7千トンを上回ったことはない。

 静岡県水産・海洋技術研究所の担当者は「黒潮が通常と異なる流路となっているため、漁場の形成に悪影響をもたらしているとみられる」と、不漁の一因に黒潮大蛇行があるとみる。

原因は「冷たい渦」

 黒潮は日本の太平洋側を東向きに流れる暖流だ。四国・本州南岸に沿って流れることが多いが、大蛇行の際は和歌山・潮岬付近で南へ進路を変え、250~300キロほど陸から離れる。Uの字を描いて本州へ向かい、再び沿岸に近づく。

 大蛇行のきっかけは、九州南東沖で発生する冷たい海水の渦が、ほかの渦と合流するなどして巨大化することにあるとみられている。冷たい渦は西向きの力が働く一方、黒潮は西から東へ向かって流れる。両者がぶつかり力が拮抗(きっこう)した結果、黒潮は冷たい渦を取り巻くように流れを変え、大蛇行のルートが定着する。

 流路変化や海水温の変化は漁業に影響を与えるとされる。この間、カツオ日本一の水揚げを誇る宮城県気仙沼市気仙沼漁港で漁獲量が減少。別の漁港で豊漁となった。海藻の生育が悪くアワビがとれにくくなることも報告されている。

 大蛇行は1965年以降で6回発生。これまでの最長は75年8月~80年3月の4年8カ月だった。前回は04年7月~05年8月で、今回と同様、シラスなどの不漁につながったとみられている。

 12年ぶりとなった今回の大蛇行。「長期化の可能性はあったが、記録を更新するまでとは思わなかった」。海洋研究開発機構で海流変動のメカニズムを分析している美山透主任研究員(海洋物理学)は驚く。

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