苦しむ欧州に「もっと払わせればいい」 ロシア、産油国でささやく

有料会員記事ウクライナ情勢

カイロ=武石英史郎
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 天然ガスや石油の脱ロシア依存を決めた欧州連合(EU)が、代わりの供給元として期待を寄せる中東やアフリカの産油国。そこにロシアが外交攻勢をかけている。制裁の「返り血」で、エネルギー不足に苦しむ欧州の足を引っ張ろうとする思惑のようだ。

クギを刺しに来たかつての恩人

 ウクライナ侵攻のさなかにロシアが派手な軍事パレードを行った「対ナチス・ドイツ戦勝記念日」から一夜明けた5月10日、ロシアのラブロフ外相は北アフリカの産油国アルジェリアを電撃訪問していた。テブン大統領と会談し、プーチン大統領からのモスクワへの招待状を手渡した。

 アルジェリアにとって旧ソ連は、フランスからの独立戦争(1954~62年)で支援を受けた恩人。独立したアルジェリアをソ連がいち早く国家承認してから、今年は60周年の節目でもある。

 崩壊したソ連の後を継いだロシアも、アルジェリアにとっては最大の武器供給国だ。そんな歴史への配慮からか、ウクライナからのロシア軍即時撤退を求めた今年3月の国連総会決議でアルジェリアは棄権に回った。

 「ウクライナ問題に関して、アルジェリアの思慮深くバランスの取れた姿勢を高く評価する」。ラブロフ氏は今回の訪問でそう賛辞を贈ったという。

 一方、アルジェリアはアフリカ最大の天然ガス輸出国で、欧州とは地中海をまたぐパイプラインでつながっている。ウクライナ侵攻の後は、イタリアが輸入増を申し入れるなど、ロシアに変わる供給元としてEUからの熱い視線を受けていた。輸出収入の約95%を石油や天然ガスに依存するアルジェリアにとって、悪い話ではない。

 AFP通信によると、ラブロフ氏はテブン大統領らとの会談後、記者団に「ロシア企業はアルジェリアとエネルギー分野での共同事業に関心を持っている」と述べたという。ロシアを差し置いてEUを助けないようクギを刺したようにみえる。

ウクライナでの戦費稼ぐ?

 アルジェリア訪問の翌11日、ラブロフ氏は湾岸産油国のオマーンを訪れた。ハイサム国王との会談で、両国が参加する有力産油国の枠組み「石油輸出国機構(OPEC)プラス」の「合意」を確認し合ったと報じられた。

 合意とは、原油価格高騰にも…

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