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パッチ・アダムスが私にくれたもの 医師の使命とは人間の幸せとは

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聞き手 編集委員・市田隆
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 がんの薬物療法を担当し、患者さんの道案内役となる腫瘍(しゅよう)内科医として、私がモットーとしているのは「ヒューマン・ベースド・メディシン(人間性に基づく医療)」です。研修医の時に私が作った言葉です。この考えに最も影響を受けたのは、大学入学直後に読んだ養老孟司さん(解剖学者)の「唯脳論」(ちくま学芸文庫など)です。

 子供の頃から医師を志し、高校生のときは数学や物理が好きでした。一つの正解が決まっている試験問題のように、絶対的な真理が存在し、それを明らかにするのが科学だと思っていて、その延長線上で医学も捉えていました。

 でも、「唯脳論」と出会って、世界の見方がガラッと変わりました。現代社会、ヒトのあらゆる活動は脳の産物であり、世界は、一人ひとり違いのある脳によって認識されるもので、絶対的な真理なんてないと知りました。養老さんのもとで解剖実習を行い、退官後もお世話になり、多くのことを教わりました。私の関心は人間そのものに移っていきました。

様々な組織でリーダー役を務める人に仕事や人生に影響した本を聞く「本がくれたもの」。今回は、がん研有明病院乳腺内科部長の高野利実さんに聞きました。

「治らない病気を抱える人」にできることは

 医学部の講義では「病気を治…

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