バイオマス発電計画に不信感、住民が反対運動 業者は「地域に還元」

遠山武
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 福岡県田川市糒(ほしい)地区での木質バイオマス発電所の建設計画に、地元住民から反対の声が出ている。「十分な説明がないまま生活への影響が大きい事業が進められるのは問題だ」として、建設反対の署名を集め、市に対応を訴えている。

 事業主体は総合商社・南国殖産(鹿児島市)の100%出資会社。計画では、農地転用された約7200平方メートルの土地に1999キロワットの発電所を建設する。伐採後に残る木の根や枝などの「林地残材」を搬入し、燃やして発電。九州電力に売電し、廃熱を園芸ハウスにも供給する。

 林地残材は国が推進する再生可能エネルギーの一つ。「クリーンな発電で、農業への活用で地元にも還元できる」としている。

 南国殖産は2019年2月に田川市と協定書を交わし、同年11月に地元区長らに計画を説明。20年5月、経済産業省から再生可能エネルギー特措法に基づく事業認可を受けた。21年6~10月に造成工事を行い、その前後に住民説明会を順次開いた。

 しかし、隣接する星美台地区では、造成後の開催となったことに住民側が反発。予定地は洪水浸水想定区域内で、周辺に学校や病院もあることから立地を不安視する声が相次いだ。

 南国殖産は取材に、住民説明のあり方に「反省点があった」とし、住民側の質問状に回答して理解を求めた。ただし、建設の方針に変わりはないという。

 星美台地区は全245世帯のうち203世帯635人が建設反対に署名。糒地区の住民有志も約260人分の署名を集め、今年3月、市に両方の署名を提示した。署名は5月1日現在、計約1900人になったという。

 事業認可が下りているため着工は可能だが、安定稼働に向けて、会社側は農山漁村再生可能エネルギー法に基づく設備整備計画を市に提出する予定だ。星美台地区の代表者は「林業もない、工業団地でもない地区にバイオマス発電所が必要とは思えない」と話す。(遠山武)