ウクライナ侵攻で取りやめていたロシアへの監査、実施へ WADA
世界反ドーピング機関(WADA)は19日、データ改ざんなど組織的なドーピング不正によって資格停止処分を科しているロシア反ドーピング機関(RUSADA)への監査を実施する方針を示した。
エジプト・カイロで開いた理事会後の記者会見で、オリビエ・ニグリ事務総長が「数週間か数カ月後かは分からないが、将来的に監査は行う」と明かした。WADAは当初、北京パラリンピック後に監査を実施する予定だったが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で取りやめていた。
主要国際大会から2年間ロシア選手団を除外するとしたスポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定が今年の12月16日で期限を迎える。ニグリ事務総長は「監査は(ロシアが復帰するための)一歩だが、ほかにいくつものステップがある。どうなるかを話すのは時期尚早だ」と述べた。
記者会見では、北京五輪中に過去のドーピング検査での陽性反応が明らかになったフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(ロシア)への質問も出た。現在はロシア側からの調査報告を待っている状態だといい、ニグリ事務総長は「コメントできない」と述べるにとどまった。
当時15歳だったワリエワは、北京五輪にROC(ロシア・オリンピック委員会)の一員として出場。団体の金メダルに貢献し、個人では4位だった。
ドーピング違反が確定すればROCは団体の金メダルを返上し、2位米国、3位日本、4位カナダがそれぞれ繰り上がりメダルを獲得する可能性がある。(ロンドン=遠田寛生)