記者解説 瀋陽支局長・金順姫
習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)が率いる中国共産党政権は、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に封じ込めようとゼロコロナ政策を維持してきた。大規模なPCR検査と隔離、地域の封鎖、水際対策が柱となっている。私権を制限し、市民生活と経済活動の犠牲をいとわない手法だ。
ゼロコロナは「コロナ感染者が常時ゼロ」を必ずしも意味しない。機動的対応で感染者を早期に発見、隔離し、新規感染者をゼロにすることを目指すものだ。中国語で「動態清零」(ダイナミック・ゼロコロナ)と呼ぶ。
問答無用で「部屋を封鎖」
私は瀋陽でその洗礼を受けた。3月下旬の日曜日、玄関のチャイムが鳴り、ドアを開けると防護服姿の4人が立っていた。「部屋を封鎖する」と告げられ、理由や期間を尋ねても答えてくれない。住民間の情報交換で、マンションで感染者が見つかったため2週間、隔離されるらしいと知った。瀋陽ではそのころ、確認される市中感染者が1日数十人規模でも、住民に厳しい行動制限が課されていた。
中国で暮らす人々は、いつ、どこで突然、隔離を言い渡されるかわからない不安にさらされている。心理的な負担は大きい。「感染より隔離が怖い」と考える市民が珍しくない。
2020年はじめに武漢から広がったコロナ感染が収束した後、他国に比べれば感染者が少ない状況でも、強権的な手法が続けられた。西安は昨年12月下旬から約1カ月の間、デルタ株の広がりを受けて都市封鎖(ロックダウン)の状況に置かれた。
封鎖で住民が苦しんでも、国…
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【視点】中国のゼロコロナ対策でわたしが気になっているのは、閉じゆく中国、というのでしょうか、このままコロナ「鎖国」が長引くことによって中国の人々や当局の内向き思考が加速化していかないか、との懸念です。 ゼロコロナ政策を維持するため、中国政府は最近

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