いきもの目線:主役マイワシ2万匹 記者も群れに潜入、別世界を体験

竹谷俊之
【いきもの目線】マイワシ@仙台うみの杜水族館=2022年5月10日 竹谷俊之撮影
[PR]

 今回のいきもの目線の主役は、マイワシ。自然光が降り注ぐ大水槽の中を、キラキラと輝きながら縦横無尽に群れで泳ぐ姿は圧巻だ。仙台うみの杜水族館(仙台市宮城野区)の協力で、360度カメラを設置。記者自らも潜水し、約2万匹のイワシの群れに加わった。

 マイワシは樺太(現ロシア・サハリン)から南シナ海までの東アジア沿岸域に分布。英名は「Sardine」で、成魚の体長は約20センチ。体色は上面が青緑色、側面から腹にかけて銀白色で体側に黒い斑点が一列に並んでいる。

 館内に入って、最初に目を引くのが水深7・5メートル、幅14メートルの大水槽「いのちきらめく うみ」。世界三大漁場の一つでもある三陸の海を再現し、約50種(約3万匹)の生きものを飼育・展示している。屋根がなく、太陽光がそのまま降り注ぎ、生きもの本来の色鮮やかな姿を演出している。

 大水槽ではマイワシが、流れるような素早い泳ぎをしたかと思えば、渦を巻きながら隊形を変化させ、1匹の巨大生物のような塊になって泳いでいる。時折、「同居」しているサメやエイが、マイワシの群れをめがけて勢いよく突進。それを避けるように、マイワシの隊形がさまざまな形に変化し、二度と同じシーンはない生きものたちのドラマが繰り広げられていた。

【動画】仙台うみの杜水族館の担当飼育員がマイワシを解説=竹谷俊之撮影

 「マイワシが群れを作る理由は外敵から身を守るためです」と飼育企画担当の齋藤康秀さん。イワシは漢字で書くと魚偏に弱。生態系の中では弱い立場だが、密集して泳ぐことで、個体の区別をしづらくし、大型捕食者のサメやエイなどの天敵から身を守っているという。

 とはいえ、サメに突進されているマイワシは食べられてしまっているのでは?

 齋藤さんによると、大水槽は自然に近いマイワシの群れを再現しているため、あえてエイやサメを一緒に飼育しているという。日々、マイワシが食べられないよう、サメや他の魚たちに十分なエサを与えているが、弱ってしまったマイワシなどは、食べられてしまうこともあるという。

 今回の取材は、記者も大水槽の中に潜って撮影をした。数年ぶりのダイビングとあって、若干、緊張気味だった。だが、大水槽内は見晴らしも透明度も良く、マイワシの群れに加わったり、下から見上げたりすると、別世界が広がっていた。

 同館では、2021年2月から東北唯一の水族館ダイビングプログラムを開催。インストラクターのサポートにより、初心者でも安心して参加できるという。参加資格は、心身ともに健康な10歳から参加可能という。詳細は同館HP(http://www.uminomori.jp/umino/index.html別ウインドウで開きます)まで。(竹谷俊之)

いきもの目線

朝日新聞デジタルで2015年8月から連載する360度動画企画。今回の記事で99回目。全国の動物園や水族館などの協力で、哺乳類から昆虫までの様々な生き物を動画や写真で紹介している(http://www.asahi.com/special/animal/360mesen/)。 許可を得て飼育展示場などに小型の360度カメラを設置し、生き物よりも低い目線から撮影した映像が特長。VRにも対応し、英語版のページもある。