第104回多数派に身を置きたい、ロシア批判はできない 中国が陥ったジレンマ

有料会員記事ウクライナ情勢

聞き手・山根祐作
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 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって間もなく3カ月。戦闘は長期化の様相を呈しています。ロシアとの関係を「世界で最も重要な二国間関係」と呼ぶ中国は、依然としてロシア非難の輪に加わっていません。中国にとってもおそらく予想外であった戦闘の長期化は、今後の政策や対応にどのような影響を与えるのでしょうか。中国の政治や外交に詳しい東京大学川島真教授に19日、聞きました。

 ――ロシアによるウクライナ侵攻がこれだけ長期化するということは、中国にとっても予想外だったのでしょうか。

 そうだったのだと思います。2月4日に北京で中ロ首脳が共同声明を出しましたが、おそらくその段階で習近平(シーチンピン)国家主席は、プーチン大統領からウクライナ侵攻を説明されたものと思います。ただ、その段階ではクリミア半島と同様に短期間で戦いを終えるということだったのではないでしょうか。中国も北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に反対していますから、それに基本的に同調したことが予想されます。

 ロシア軍の力から見れば、戦闘はオリンピック閉幕後からパラリンピック開幕までの間には終わるだろうと思っていたのではと思います。ただ、ロシアはパラリンピック終了後にさらに攻勢を強めましたから、中国に配慮していたのかもしれません。いずれにしても、ロシアの言葉を受け入れていた中国としては予想外であったものと思われます。

 中国にとっては、大変重要な人事がある今秋の共産党大会を控えて、ウクライナをめぐる情勢が長引いて国内政治に影響することは望ましくない。そういう意味でも戦闘の長期化は「誤算」だったと言えるでしょう。ただ、今の中国にとっては、新型コロナの感染拡大が5月のこの時期まで上海で収束せず、北京にも飛び火したことのほうがより大きな誤算ではないでしょうか。

 それに伴って経済がかなり厳しい状況になっていることが、習政権にとって痛手となっています。国際的にウクライナをめぐっていろんな議論があるとしても、今の中国にとっては、国内の安定、秋の党大会での人事の遂行が第一になっているのだと思います。

政策変えれば、習氏の「誤り」認めることに

 ――これまで中国政府は、ロシアによる侵攻を明確に非難せず、危機の原因は米国やNATOにあるとの主張を繰り返してきました。かといって、ロシアの立場に完全にくみするわけでもない。戦闘が長期化しても、やはりこの姿勢に変化はないのでしょうか?

 戦闘が長期化したからと言っ…

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