小岩井の知られざる風景 16年間の作品を1冊に 滝沢の小坂さん

藤井怜
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 普段は見ることのできない小岩井農場の風景を切り取った写真集を、岩手県滝沢市に住むカメラマンの小坂富男さん(70)が出版した。農場に16年間通い続けて撮りためた写真のうち、84点を収録。1冊で四季の移ろいが感じられ、ページをめくると心が休まる作品に仕上げた。

 小坂さんが写真を始めたのは30代半ばのころ。登山が趣味で、その道中で心ひかれた草花をカメラに収める程度だった。そのうち、刻々と表情を変える風景を写し取る面白さに目覚めた。40代半ばには写真クラブに入り、コンテストで入選するようになると、さらにのめり込んだ。

 あるとき、写真クラブに来ていた講師から、小岩井農場のカレンダーに使う写真の撮影を引き継がないかと持ちかけられた。商品にできるほどの写真を撮れるかどうか不安はあったが、好きなことを仕事にできる喜びが勝り、2005年から撮影を始めた。

 農場を運営する小岩井農牧によると、3千ヘクタールある農場のうち一般公開されているのは40ヘクタール。小坂さんは農場側から、防疫のため入れない場所を除き、どこでも入れるよう許可をもらい撮影した。

 当時は自動車教習所の指導員をしており、出勤前に日の出を撮りに行ったことや、きらめく白銀の世界を収めるため、厳冬の朝にシャッターチャンスを待ち続けたこともあり、多いときには年50回通った。

 写真は教習所に飾られるようになり、元同僚の金田一望さん(39)は「小坂さんの写真は、一度見るとまた見たくなって、どこかほっとする」と話す。

 これまで撮影したのは数万枚。農場のカレンダーやホームページに使われていない作品も多いうえ、小坂さんの努力に感謝する農場側から許可が下りたこともあって、写真集の出版を決意。友人の勧めで記念の写真展も開くことにした。

 小坂さんは「息の詰まる社会の中で、心を休めてもらいたい。農場にこんな所もあるのかと、小岩井の新たな一面を知ってほしい」と話す。

 写真展「季節のめぐり~小岩井農場~」は30日まで(24日休み)、滝沢市のビッグルーフ滝沢で開かれており、会場で写真集(96ページ、税込み2200円)を販売中で、6月からは県内の書店でも販売される。

 問い合わせは小坂さん(090・7327・6772)。(藤井怜)