対照的だったライバル 昨夏Vの智弁和歌山と今春選抜8強の市和歌山

山口裕起
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 チーム状態は、対照的だった。

 昨夏の全国王者・智弁和歌山と今春の選抜8強・市和歌山

 高校野球の春季近畿地区大会は21日、和歌山県紀三井寺球場で開幕した。この日の1回戦に登場した地元のライバル校は明暗が分かれた。智弁和歌山は10―0で西城陽(京都)に6回コールド勝ちしたが、市和歌山は2―8で報徳学園(兵庫)に敗れた。

 一回に左中間へ先制の2点二塁打を放った智弁和歌山の主将、岡西佑弥の声が弾む。「いい感じに打線がつながりました。守りも無失策だったし、よかった」

 チームは11安打で10得点。各打者が積極的に振っていき、力強い打球で快音を連ねた。エースの塩路柊季(しゅうき)も140キロ前後の速球とスライダーを低めに集めて、寄せ付けず。被安打2で完投した。

 一方の市和歌山は投打ともに精彩を欠き、「まったくあかんですわ」と半田真一監督。

 とくに、今春の選抜で1回戦の花巻東(岩手)、2回戦の明秀日立(茨城)を相手に立て続けに完投勝ちした右腕・米田天翼の状態が心配だ。

 選抜の疲労が残っているのか。最速149キロの直球は影を潜め、変化球の制球も乱れる。完投したが、11安打を浴びて144球を要した。「悔しいし、情けない」と肩を落とした。

 互いに「ライバル」と認め合う両校は、しのぎを削り合う。

 前チームは、市和歌山が小園健太(DeNA)、松川虎生(ロッテ)のドラフト1位バッテリーを擁して昨春の選抜に出場し、夏は和歌山決勝で智弁和歌山がリベンジ。グラウンド上で、うれし涙と悔し涙が交錯した。

 そのままの勢いで全国の頂点まで駆け上がった智弁和歌山の中谷仁監督は「市和歌山のおかげで強くなれた」と感謝した。

 現チームも、今春の選抜に出場できなかった智弁和歌山は「打倒・市和歌山」を掲げ、その先の甲子園連覇をめざす。市和歌山の選手たちは「昨夏と同じ思いはしたくない」と口々に言う。

 米田も、自身の不調の原因はわかっている。「今はフォームを改善している途中で、まだしっくりきていない。これから夏にかけて仕上げていきます」

 和歌山は、ほかにも今春の選抜に初出場した和歌山東や春季県大会で準優勝した和歌山商など、群雄割拠の様相だ。

 夏の和歌山大会開幕まで約1カ月半。決勝予定の7月28日に笑っている学校は、はたして。(山口裕起)