インド洋に浮かぶスリランカの最大都市コロンボ。4月23日の夕暮れ時、政府庁舎や高層ビルが集まる大通り沿いに、数万人の群衆が政府に対する抗議デモのために集まっていた。
「料理用のガスや医療用の薬も不足している。いまは仕事があっても、明日どうなるかは分からない。黙って見過ごすわけにはいかなかった」。外資系企業に勤めるディヌシ・ムダナヤケさん(45)は仕事帰りにデモに参加した理由を、こう語った。
今年に入り、スリランカでは1日最大10時間にも及ぶ停電が起こり、ガソリンや米、砂糖の値段は数カ月で2倍近く、料理用のガスは昨年9月に比べて3倍以上に跳ね上がった。コロナ禍で外貨が極端に不足し、発電用の燃料などが輸入できないことが原因だ。
「大統領は家へ帰れ(辞任せよ)」「私たちは負けない」。ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領らの辞任を求める声が至る所で響く。湿気をたっぷりと含んだ暑さのなか、立っているだけでも大粒の汗が全身をつたう。
無言でプラカードを掲げる自営業者、「政治家が国民を顧みずに私腹を肥やしている」と訴える大学生など参加者は様々だ。隣接する高級ショッピングモール脇の広場にテントを張り、寝泊まりするデモ参加者もいる。日常生活が脅かされる事態になったことが、全土で人々をデモに駆り立てていた。
中国による「債務のわな」?
批判の矛先は、ラジャパクサ…
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