コイ料理を題材に文学賞 スマホで執筆した料理人「売れっ子作家に」

土屋弘
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 小説投稿サイト「ステキブンゲイ」の文学賞で、鯉(こい)料理を題材にした「WASHOKU~コイ物語~」が993点の応募作の中から大賞に選ばれた。「料理人だから書けた作品。売れっ子作家になって長く書き続けたい」

 舞台は長野県佐久市。進路や家族との関係に悩む2人の高校生が、和食の腕を競う全国大会に地元特産の佐久鯉を使ったレシピで挑む青春物語だ。

 亡くなった母が残したメモを見ながら鯉こくを作ったり、専門店に弟子入りして熟成法を習ったり。家族や友人らに支えられて競技に打ち込む中で、それぞれが将来の目標をつかみ取っていく。

 同県千曲市で約200年続く料亭「柏屋料理店」の7代目当主。調理師専門学校を経て23歳で家業を継いだ。2016年から執筆活動を始め、翌年には「坊っちゃん文学賞」(松山市など主催)のショートショート部門で大賞を受賞した。

 長編は初めて。3年前に、佐久市にある野沢南高の生徒2人が「全日本高校生WASHOKUグランプリ」で優勝したニュースを見て着想した。当時の生徒に取材し、料亭の仕事の合間にスマートフォンで少しずつ書きためた。市内に実在する喫茶店やケーキ店も登場する。「実話が面白かったので、楽しく書けました」

 これからも料理人と作家の二足のわらじをはき続ける。「おいしい料理を作るように、心に残る物語をたくさん書いて読者を喜ばせたい」(土屋弘)