兄弟のような親友が流した涙 初優勝逃した佐田の海に見た「執着」
初の幕内優勝まであと一歩――。大相撲夏場所で好成績を収めた熊本市東区出身の力士、佐田の海(35)を応援しようと千秋楽の22日、NHK熊本放送局=同市中央区=の1階「ハートプラザ」に設けられたパブリックビューイングの会場にはファンらが訪れた。その中には、特別な思いで大一番を見守る人もいた。
この日を4敗で迎えた佐田の海。まずは3敗でトップに並ぶ隆の勝との一戦に臨んだ。佐田の海が土俵に上がると、会場の220インチの大画面を見守る人たちは手を合わせたり、天を仰いだり。取組が始まると固唾(かたず)をのみ、佐田の海が相手を土俵の外に投げ出すと「よーし」と歓声をあげて拍手を送った。
結びの一番。3敗を守る横綱の照ノ富士が負ければ、佐田の海も交えた4人での優勝決定戦へ。期待が高まったが、横綱が貫禄を見せて賜杯(しはい)を手にした。会場の人々は誰も言葉を発せずにいたが、少しの間を置いて再び拍手が湧いた。
「本人がやれることは全部やった」。佐田の海が市立西原中学に通っていた中学3年の頃から交流を深めてきた会社代表、津野田聡さん(36)=中央区=は、親友の健闘をたたえた。
父親同士の仲が良かった縁で知り合った。九州場所や休暇で佐田の海が福岡や熊本を訪れるたびに2人で遊んだ。20代のはじめの頃は互いに小遣いが乏しく、ポケットの中の持ち金を出し合って居酒屋に向かったこともあったという。
苦しかった下積み時代
「寡黙でまっすぐ」と津野田…