揺れる木質バイオマス発電 地元燃料は地域に貢献 輸入すると?
2030 SDGsで変える
天候に左右されずに電気を作ることができる、再生可能エネルギーのバイオマス発電。地域の未利用材を使えば森林再生や雇用創出など、SDGs(持続可能な開発目標)にも結びつきます。一方で、海外から燃料を大量に輸入する大型発電が急増し、持続可能性の課題が横たわっています。(神田明美)
震災からの復興で生まれたエネルギーの地産地消
宮城県気仙沼市。東日本大震災からの復興で、地産地消のエネルギーが生まれた。間伐材を砕いたチップを燃料とするバイオマス発電だ。
2014年に発電所が稼働した「気仙沼地域エネルギー開発」は、800キロワットの発電能力で約1800世帯分に相当する電気を作る。発電に伴って出る熱エネルギーは2軒のホテルに売るほか、チップの乾燥にも使う。
社長の高橋正樹さんは、市内でガソリンスタンドや漁船用重油の貯蔵施設を経営する。震災で15カ所の事業所のうち13カ所が全壊、しばらくガソリンなどを供給できなかった。その苦い経験から、地元でエネルギーを作ることを目指した。
「地産地消だから、燃料は市内のスギとアカマツの間伐材だけ」。年に約8千トンが必要だが、当初は必要量の8分の1程度しか集められそうになかった。林業が栄えていたのは昔の話。山林は荒れ、運び出されている間伐材は少なかった。
電気づくりが山の再生や雇用、お金がめぐる起点に
そこで高橋さんは林業従事者…