子どもに読んでほしい あの審判が明かす「退場者取り違え」の経緯

有料会員記事

編集委員・中小路徹
[PR]

 レッドカードは出した。

 ただ、反則したのが誰か、わからない。

 サッカーの審判としては大失態だった。でも――

 2017年8月16日。J2の町田ゼルビア名古屋グランパス戦で、主審が退場者を取り違えた。

 終了間際。名古屋が決定機を迎えた時、町田の選手が名古屋の選手の足を払うように倒した。

 実際に反則を犯した選手とは別の選手が、ピッチを出ることになった。

 「世紀の大誤審」と呼ばれた。

 笛を吹いていたのは、家本政明さん(48)。

 今年1月にプロ審判を引退した。

 家本さんは2度にわたり、判定の不安定さなどを理由にJリーグで審判をさせてもらえない時期を経験した。

 そこを乗り越え、この時は国内外で高い評価を受ける第一人者になっていた。

 ただ、前年の16年チャンピオンシップ(CS)・浦和レッズ鹿島アントラーズ戦では、浦和に与えたPKの判定は正しかったのに、鹿島の選手から不満が噴き出すなど物議を醸していた。

 「僕からすると、審判委員会が守ってくれなかった。そして、メディアを含めて『また家本がやりやがった』という構図ができあがり、心の傷を引きずり、17年のシーズンは審判業に気持ちが入らない精神状態でした」

 町田―名古屋戦の数日前には妻が流産した。

 さらに精神的なダメージを負った状態で、試合に入ってしまったという。

 そんな中でのレッドカード。

 「ふわっとした状態で出してしまった」

 これ自体は家本さんの落ち度だった。

 あのとき、何があったのか、明かしてくれた。そして、一つの大事な問いかけをしてくれた。

 家本さんと目が合った町田の…

この記事は有料会員記事です。残り1017文字有料会員になると続きをお読みいただけます。