「常識ない」と長時間の電話 客からのハラスメントに会社は動いた
理不尽なクレームを客から突きつけられる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。従業員が離職に追い込まれることもある。企業は対策に動き出しているが、相手は「お客様」。悩みながら模索している。(三浦惇平)
「常識がない」「社会人として失格だ」
男性の怒鳴り声が、受話器から周囲に漏れていた。電話を受けていた営業担当の女性は、身体を震わせながら受話器を握っていた。女性は謝り続け、時折だまり込む。目からは涙がこぼれた。電話は1時間にわたり続いた。
2020年秋、介護サービス「メグラス」(名古屋市)の運営する施設。女性の様子を見ていた飛田拓哉代表(45)は「そこまでされるほどだったのか。一線を越えていた」という。
電話をかけてきた男性は施設利用者の家族。長時間の電話は、毎日のように続いた。男性は利用者の細かい体調の変化まで逐一報告をするように求めていた。通常の業務を超えた要求だったが、少しでも報告が滞ると女性を罵倒した。
退職してしまった女性
直接施設に来て、フロア全体…
- 【視点】
学生時代にバイトした居酒屋で、店長が閉店であることを伝えた時に「お客様は神様だろ」との言葉で酔客に絡まれ、最終的に彼らに要求されて土下座をしていたことを、記事を読みながら思い出しました。 「お客様は神様」という言葉の結果、「常識」を超える