最高裁と「違憲立法審査権」 重い腰を上げた過去の10件とは
根岸拓朗
海外に住む日本人は最高裁裁判官の国民審査に参加できないという法律の規定は憲法に違反する。最高裁大法廷は25日の判決でそう判断した。最高裁が法令を違憲としたのは、戦後まだ11件目。過去にはどのような規定が違憲とされたのか――。
憲法が定めた最高裁の権限
憲法81条は「最高裁は一切の法律、命令、規則または処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」と定める。「違憲立法審査権」と呼ばれる権限だ。
最高裁が憲法違反だと宣言しても法律や規則が自動的に変わるわけではないが、政府や国会は無視できない。
戦後初の「法令違憲」は1973年。両親などを殺す「尊属殺人」を通常の殺人より重く処罰する刑法の規定について、最高裁大法廷は憲法14条の「法の下の平等」に反すると判断した。
尊属殺人に初の「法令違憲」
「法令違憲」と判断されたら政府や国会はどんな対応を迫られるのか。後半では、選挙のあり方や、家族のあり方に関わる法律の変更につながった最高裁の判断を紹介します。
規定が削除されたのは20年…