陸上自衛隊・水陸機動団、離島奪還訓練を公開 「特定の島想定せず」

編集委員・土居貴輝
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 陸上自衛隊の「水陸機動団」(長崎県佐世保市)が、五島列島の最北端・宇久島(同)で実施している訓練の一部を公開した。

 占拠された離島を陸上・海上自衛隊が連携しながら奪還するという内容。水陸機動団が離島への上陸作戦を想定した訓練を県内で公開するのは初めてという。

 5月21日午前。佐世保市の中心部から西に約60キロ離れた宇久島。その沖合に展開した海自の輸送艦「おおすみ」から飛び出した偵察用ボート(8人乗り)が海上を高速で進み、同島・大浜海岸に滑り込んできた。砂浜に着くと、隊員は素早い動きでボートから一斉に下り、周囲を警戒しつつ海岸から陸地方向に進んでいく動作を確認した。

 ボートで先に島に入った隊員が海岸周辺の安全を確認後、今度は沖合の輸送艦「くにさき」から、主力部隊を載せた水陸両用車(AAV7)6両が発艦し次々と着岸。最後に、迫撃砲を積んだ海自のエアクッション型揚陸艇(LCAC)が着岸し、一連の訓練を終えた。公開された時間は約2時間におよんだ。

 水陸機動団は2018年3月に発足。相浦駐屯地(佐世保市)に団本部を置く。陸自の運用を一元的に担う陸上総隊(朝霞駐屯地)の直轄部隊として、占拠された離島の「奪回」を任務とする専門部隊と位置づけられている。

 訓練は18~26日の間、宇久島と周辺の海域で実施されている。水陸機動団のほか、海自の輸送艦2隻などで計約900人が参加している。「占拠された島を奪還するための上陸訓練だが、特定の島を想定しているわけではない」(水陸機動団幹部)という。

 陸自によると、水陸機動団は21年度、宇久島で8回にわたって訓練した。大浜海岸は「海上から近づいて上陸する際の基本動作を身につけるのに適したポイント」(陸自幹部)とされる。これまで、種子島鹿児島県)で上陸訓練を公開したことはあるが、この想定の訓練としては県内で初公開となる。広報担当者は「宇久島を使って訓練することで、水陸両用作戦の向上、海自との連携ができた。今後、海自のみならず、陸海空(自衛隊)の統合、米軍その他の国と共同訓練を積み重ねていきたい」と話した。

 期間中、島の住民向けに装備品の展示の日を設けるなど「水陸機動団が拠点を置く地元と交流を深め、部隊をより深く知っていただく」(水陸機動団幹部)狙いもあるという。

 水陸機動団は現在約2400人体制。様々な任務に即応できる体制を整えるため、23年度末に三つ目の連隊を竹松駐屯地(大村市)に発足させる予定で、3千人規模となる見通しだ。(編集委員・土居貴輝)