首相、年金積立金のベンチャー投資拡大に意欲 識者からは異論も
西尾邦明
岸田文雄首相が、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産運用のうち、ベンチャー企業に振り向ける割合を拡大することに意欲を示している。ベンチャー投資は一般的にリスクが大きい。新しい企業の育成は大切とはいえ、年金の積立金を使っていいのかという批判もある。
「GPIF等の長期運用資金のベンチャー投資への循環を進める」。岸田首相は5日にあった英国での講演で、GPIFの資金などを使ったベンチャー支援を検討する姿勢を示した。4月の政府の新しい資本主義実現会議でも同じ趣旨の話を述べており、改めて必要性を強調した。
背景にあるのは、日本で活躍するベンチャー企業の少なさだ。例えば、時価総額10億ドル(1280億円)超の「ユニコーン」と呼ばれる非上場企業の数は昨年末時点で米国が489社、中国が170社あるのに対し、日本は6社のみだ。岸田首相は「資金調達の困難さを訴える(ベンチャー経営者の)声が印象的で、大胆な支援の必要性を実感した」と話す。
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